耳を傾ける人間───音楽体験の本質
アーミン・フーゼマン 著
本田常雄 訳
広瀬俊雄 本書の出版に寄せて
A5版フランス装 160頁
定価3080円(10%税込)
ISBN978-4-903865-40-9
シュタイナーによれば、音楽の体験は「呼吸のリズムが聴覚器官の内部まで伝わり、・・・神経プロセスと出会う」ことで生じる。本書は、聴くことといのちの世界とのふれあいを描く、 待望の名著。
音楽はどのように音から生まれるのでしょう?
私たちが音楽を体験するとき、
私たちはどのような現実の中に生きるのでしょう?
フーゼマン博士は、人間の音楽的な聴覚と形態に関する生きた生理学を展開します。そこでは神経生理学の成果が、アントロポゾフィーに基づく精神科学的な人間学の中で新たな生命が与えられます。
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脳脊髄液の形成(図参照)と流れの中で、アストラル体と自我は、エーテル体とともに物質体から切り離されます。このプロセスは、人間が死の境を超える時、人間全体でラディカルに行われます。ここにこそ「生命のただ中にある死」の秘密が隠されています。
私たちは、・・・創造的な造形力の体験を、この秘密に負っています。
ゲーテは、生涯に亘り、この造形的なファンタジーの力を、有機的世界の生命を認識するための器官に進化させるべく、修練を続けました。
心身問題をめぐる幅広い議論は、ミラーニューロンの発見等のニューロサイエンスの新たな画像的方法の導入により、決定的な影響を受けています。そこでは自我意識のみならず、自我そのものの存在までもが議論の俎上に載せられます。本書は、広く行われている神経を中心とした意識理論に対し、生理学的知見の新たな解釈を試みようとするものです。こうした試みは、ルドルフ・シュタイナーによって1917 年「魂の謎について」という著書の中で初めて提唱されました。響きとともに呼吸するとき、人は、音を聴くだけでなく、メロディーを体験できるようになります。こうした精神科学的な分析を自然科学的に検証する試みが、90年たった今、初めて行われるのです。(本文より)
アーミン・フーゼマン Armin J. Husemann
1950年生まれ。一般内科医であり、1987年からシュトゥットガルトの自身のクリニックにて診療に従事。1988年から93年まで、自由ヴァルドルフ学校の校医としても働き、93年からフィルダーシュタットにあるオイゲン・コリスコ・アカデミー(旧称:アントロポゾフィー医師ゼミナール)の代表ならびに講師を務める。ドイツの国内および国外にて、数多くの講演やゼミナールを行っている。
これまでに『人間の音楽的構造』『子どもの歯の生え変わり』『安楽死——今世紀の症候群』『芸術による人間科学』(いずれもフライエス・ガイステスレーベン社)などの著作がある。
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本田常雄(訳者)
ドイツ在住。アントロポゾフィー医学研究者・精神科医。
フーゼマン著『子どもの歯の生え変わり』を翻訳。
広瀬俊雄(出版に寄せて)
広島大学名誉教授、教育学博士、音楽教育実践家として活躍。
現在、東広島シュタイナーこども園さくら理事長